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Medex Journal [ メディックス・ジャーナル=MJ ] は、女性のためのフィットネスを実践しているJMFA公認のインストラクターやディレクター向けに、JMFAの約30年間に渡る女性の健康なカラダ研究に基づいて、編集発行してきたマガジンです。とくにマタニティフィットネスの振興を一層進めるため、インストラクターやディレクターである彼女たちの知識・サービス・スキルアップをサポートしています。従来、MJは冊子版(紙媒体)で刊行していましたが、妊産婦をはじめ女性全ての方々にとっても、有意義な内容であるため、この度ウェブサイトで一般公開することになりました。

Medex Journal [ メディックス・ジャーナル=MJ ] は、医療専門家やJMFA認定インストラクター/ディレクター達によるライティングで編集されたカラダ健康お役立ち情報誌です。とくに初めての出産を迎える妊婦さんは、なにかと不安や疑問がたくさんあると思います。マタニティフィットネスに関わる医学的アカデミックなものから日常のコラム的内容まで幅広い記事をアップ。他にも日本各地で年間通して行われているJMFAのイベント情報もお伝えしていきます。健やかな妊娠・出産・産後、そしてすべての女性の健康のために「MJ」をどうぞお役立てください。

和痛分娩について

浦野 晃義

医療法人社団晴晃会 育良クリニック 産婦人科
総合母子保健センター 愛育病院 産婦人科

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はじめに

最近、和痛分娩、無痛分娩という言葉をお産関係の雑誌やインターネットなどで見る機会が増えてきたのではないでしょうか。それでも、あまり日本人には馴染みのない言葉だと思います。今回は和痛分娩、無痛分娩について簡単にお話ししたいと思います。

和痛分娩や無痛分娩とは読んで字の如く、痛みを『和らげる』或いは『無くす』手段を用いた分娩方法です。痛みを軽減させる程度により使い分けをすることが多いですが、ここでは、広い意味で和痛分娩という言葉で統一してお話していきたいと思います。また、痛みを軽減させる手段を用いることを除けば、お産自体は通常のお産と同じです。

産痛に対する考え方や受け止め方には、民族の文化や風習あるいは宗教的なものによって違いがあります。わが国においては、一般的に分娩の痛みに耐えることが、母になる資格でもあり美徳とされてきました。また医学の場においても、妊娠出産は成熟女性の生理的現象であり、自然のままが良いとの考え方もあります。しかし、出産や陣痛に対して、強い不安感や恐怖感を抱く産婦は、自制心や協調性を失いやすく、狂乱したり過換気になることもあります。出産中に暴れてベッドから落ちそうになったり、分娩体位を取れないお産は、妊婦や赤ちゃんにとって危険なこともあります。最近は、医学的適応がある場合は勿論のこと、妊婦さんの希望でも和痛分娩を行なうことが多くなってきました。

産痛に対する考え方や受け止め方には、民族の文化や風習あるいは宗教的なものによって違いがあります。わが国においては、一般的に分娩の痛みに耐えることが、母になる資格でもあり美徳とされてきました。また医学の場においても、妊娠出産は成熟女性の生理的現象であり、自然のままが良いとの考え方もあります。しかし、出産や陣痛に対して、強い不安感や恐怖感を抱く産婦は、自制心や協調性を失いやすく、狂乱したり過換気になることもあります。出産中に暴れてベッドから落ちそうになったり、分娩体位を取れないお産は、妊婦や赤ちゃんにとって危険なこともあります。最近は、医学的適応がある場合は勿論のこと、妊婦さんの希望でも和痛分娩を行なうことが多くなってきました。

分娩の進行

まずは、妊婦として正しい陣痛の仕組みや分娩の段階を知っておく必要があります。出産というのは、その時になって狼狽することが多いものです。でも大枠の流れをあらかじめ頭に入れておくだけで、自分の今の状況を受け入れやすくなり、より安定した精神状態で分娩に臨めるものです。

分娩は、分娩第一期、第二期、第三期の3つの段階に分けられ、各段階での所要時間は人それぞれ、出産回数、児の大きさによっても異なります。

分娩第一期とは、陣痛が始まってから子宮口が全開(約10cm)になるまでの段階のことを指しています。分娩第一期には、他の3つの段階の中でも、最も長い時間を必要とします。短い人で2、3時間ほど、長い人になると18時間以上かかる場合もあります。

子宮口が開き始めてから3、4cmまではゆっくりと徐々に進行し、その後、子宮口が開く速度が速まってきます。そして分娩第二期になる前の移行期に入ります。この移行期の段階では子宮の収縮がさらに強くなり、間隔も短くなります。移行期は、やはり個人差があり、2、3分のこともあれば、2、3時間のこともあります。

分娩第二期とは、子宮口が全開してから赤ちゃんが生まれるまでの期間となります。この段階では、産婦さんは赤ちゃんを産道から出すために、陣痛に合わせていきみます。この期間は2、3分から長くても数時間ほどになります。経産婦さんでは、この時間は短くなるのが一般的です。この時期の痛みの感じ方はさまざまで、赤ちゃんが産道を通過する際の圧迫感や、骨盤辺りの骨に痛みを感じた、など産婦さんによっても状況に違いが出てきます。

分娩第三期とは、赤ちゃんが生まれてから胎盤が出てくるまでの期間になります。通常、10分も要しないのがほとんどのケースであり、長くても30分程度で済みます。

和痛分娩が勧められる症例

和痛分娩は医学的処置であり、医学的適応があって行う場合があります。

最近、もともと心疾患などの病気を抱えている産婦さんや、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)などの産婦さんに対しても、医学的見地から、麻酔薬による「無痛分娩・和痛分娩」を勧める場合があります。もちろん状態によっては、最初から経腟分娩を行なわずに、帝王切開を選択する場合もあります。

例えば、母体にとっては痛みにより血圧が上がってしまうと心疾患の悪化や、脳出血などの命に関わるような状態に陥る危険があります。

また、赤ちゃんにとっては、母体の危険はすなわち赤ちゃんの危険でもあります。例えば妊娠高血圧症候群の場合、胎盤を通しての血流が減ってしまい苦しくなってしまうことがあります。

このように、母体に何らかの合併症や妊娠に伴う疾患がある場合は、血圧管理の(血圧が余り上がらないようにする)目的で、和痛分娩を行う場合があります。

他には、病気ではありませんが、痛みに対して敏感だったり、恐怖感が強かったりして、上手な呼吸ができず赤ちゃんへの酸素が不足してしまうような場合や、上手な分娩体位が取れず産道を広げられず赤ちゃんが出て来られないような場合なども、良い適応となることがあります。

和痛分娩の種類

ここでは、日本で行なわれている代表的な和痛分娩についてお話したいと思います。代表的なものとしては、硬膜外麻酔、陰部神経ブロック、笑気ガス、鎮痛薬注射などがあります。

ネルギー代謝を、運動生理学、栄養学、生化学の分野をまたいで解説を始めました。今回は、細胞の直接的エネルギー源はATPであるが、ATPの貯蔵量は非常に限られているので、常に再合成して無くならないようにしていることを解説しました。ATPの再合成の方法は3種類ありますが、これらの方法については、次回から順次説明する予定です。

和痛分娩の種類

硬膜外麻酔

和痛分娩の種類

現在、和痛分娩の主流となっている硬膜外麻酔についてお話します。

背中から痛みを感じる神経の近くにカテーテルという細い管を挿入し、局所麻酔薬を注入します。カテーテルは柔らかい為、邪魔になったり、背中が痛くなるようなことはありません。また、局所麻酔薬を随時追加出来るので、出産が終わるまできちんと麻酔を行なう事が出来ます。

また、勘違いされる方が多いのですが、痛みを感じなくなっても触っている感じや押される感じは分かる為、子宮収縮は感じる方が多いです。あくまでも全身麻酔ではなく部分麻酔なのです。ですので、しっかりといきんで経腟分娩を体感することが出来ます。意識がしっかりとあるので、赤ちゃんと直ぐに対面もできますし、泣き声を聞くこともできます。

硬膜外麻酔は、その安全性において評価されてはいますが、副作用や合併症がまったくないというわけではありません。

以下に、硬膜外麻酔により起こる可能性のある副作用の説明をします。

  • かゆみ:かゆくなる箇所は薬の種類によっても多少違いはありますが、かゆみは数十分から1時間位で良くなることが多く、治療を必要としない程度です。もちろん必要と判断される場合には、かゆみ止めを使用することもあります。
  • 低血圧:硬膜外麻酔開始後に血圧が低下することがあります。その場合、子宮が血管を圧迫するのを避けるため、横向きに寝たり、輸液(水分補給)を行います。
  • 発熱:長時間にわたる硬膜外麻酔の場合、産婦さんに38℃以上の高熱が出ることがあります。しかしこの時の熱によって赤ちゃんに異常が起きることは稀でしょう。ほとんどの場合、自然に解熱します。また、子宮内感染などで起こる発熱とは区別して考えなければなりません。
  • 尿閉:尿が膀胱にたまり、尿意はあるのに尿を出せないことがあります。導尿をしたりすることがあります。麻酔効果が薄まれば元に戻ります。
  • 吐き気:麻酔を使わない出産でもよく見られる症状ですが、麻酔を開始した直後は血圧が変動しやすく、この時期に血圧が低下すると、吐き気が起こりやすくなります。また、薬自体の特性で気分が悪くなる場合もあります。
  • アレルギー:薬剤が体に合わなかったりして起こります。発疹等の軽度なものから呼吸苦や心停止等の重篤な状態になることも稀にあります。
  • 硬膜外血腫:硬膜外腔に針を刺すことにより、血腫という血の塊が出来てしまう状態です。大きさや神経への圧迫により手術で取り除かなければならない場合もあります。
  • 感染(硬膜外膿瘍):硬膜外腔に針を刺すことにより、外から細菌が入ってしまい膿を作ってしまう状態です。抗生物質投与や膿瘍を取り除く処置が必要になります。
  • 分娩遷延:濃度の濃い麻酔薬を用いることで、痛みを取るだけでなく、子宮収縮も弱めてしまうことがあります。場合によっては全くいきめなくなってしまうこともあります。収縮が弱い場合は陣痛促進剤を併用したり、最終的に吸引分娩、鉗子分娩、帝王切開となることもあります。
    最近では、局所麻酔薬の濃度については、薄いものを使った場合でも痛みがとれることが分かってきました。さらに、局所麻酔薬に麻薬を加えることによって、局所麻酔薬自体の濃度を落とし、鎮痛効果を持続し、また改善できることが分かってきました。したがって、以前に比べ分娩遷延は減少してきたと言われています。
  • 回旋異常:赤ちゃんは体や頭を回転させながら、狭い産道を出てきます。その際に本来と違う方向に回ってしまうことを回旋異常と呼びます。回旋異常が起こると、分娩が遷延したり、停止して帝王切開となる場合もあります。ただし、分娩遷延同様に局所麻酔薬の使用方法の改善で、回旋異常の発生率も低下しています。

陰部神経ブロック

陣痛の痛みというのは、赤ちゃんの下降に合わせて、その分娩の段階によって痛みの場所が移動します。

硬膜外麻酔法が行なえない産婦さん(脊椎奇形など)や、背中からの処置に恐怖感を持つ産婦さんの場合には、他の方法を行うことがあります。こんな場合に、少しでも痛みを止めたいという時には陰部神経ブロックという方法があります。

陰部神経ブロックとは、産婦さんが分娩台に乗った状態で、腟と肛門の間に分布する神経に皮膚から、局所麻酔薬を注射するという方法です。これにより、娩出時の痛みや会陰切開の痛みがやわらぐことになります。陰部神経ブロックは、子宮の中の知覚神経に作用させるわけではないので、子宮収縮による痛みを緩和するということはなく、腟や直腸付近の感覚を麻痺させるだけの効果です。

そのため、これによる効果が示されるのは、分娩の後期だけですが、硬膜外麻酔が効きすぎた時のように「力が入らず、いきむのが難しい」ということはありません。しかし、鎮痛の質は硬膜外麻酔よりも劣ってしまいます。

笑気ガス

笑気ガスとは亜酸化窒素のことです。亜酸化窒素は、無臭のガスであり、通常は酸素と混合して吸入を行ないます。一般的に手術室で使用されることが多い薬剤です。

笑気ガスの効果を得るためには、マスクを顔にあて、次の収縮が始まるまで深く息を吸います。ガスが有効に働くまでには30秒~60秒くらいの時間をみておく必要があります。そのため、次の収縮を感じ始めた瞬間に、ガスを吸入するタイミングを合わせるとよいでしょう。

笑気ガスの作用には、痛みと同時に幸福を感じる不思議な感覚があると言われています。

ガスを吸っても痛みが残ることはあるのですが、ガス作用によって痛みを苦痛と感じなくなるのでしょう。

笑気ガスが母体へもたらす副作用としては、吐き気を催すことがあります。赤ちゃんへのはっきりとした臨床的な副作用は、現段階では分かっていません。

鎮痛薬注射

硬膜外麻酔法は無痛分娩の主流と言われていますが、硬膜外麻酔が受けられない医学的な理由がある場合(出血傾向、感染や脊椎奇形)や背中に針を刺されるという恐怖がある妊婦などには、他の方法で鎮痛を得るがあります。和痛分娩の方法のひとつとして、鎮痛薬の点滴や注射を行なう場合があります。この方法は割と多く使用されます。

分娩時に使用される麻薬性鎮痛薬は、ほとんどの場合、痛みを完全に取り除くわけではありませんが、これによって、産婦さんの痛みはマイルドに軽減されます。

投与方法は、点滴や静脈注射、筋肉注射などです。筋肉注射は、腕か大腿、またはお尻の筋肉に注射をします。点滴の場合は、薬を投与してから5分ほどで効果が現われますが、筋肉注射の場合は、効き目がすぐにあらわれず、十分な効果が得られるまで数十分ほどかかります。

分娩中によく用いられる鎮痛薬は、オピスタン、モルヒネ、フェンタニル、ペンタゾシンなど、いわゆる麻薬やそれに類似した薬剤です。これらの鎮痛薬が、母体や胎児にどんな影響を及ぼすかは、使用される薬の種類や量、投与のタイミングによっても違ってくるようです。

副作用として、めまい、吐き気、呼吸抑制、かゆみ、排尿困難といった症状が出てくる場合があります。また薬の種類によっては、出産後2日間ほどの間は、便秘になることもあります。それは、胎児が薬を代謝するための十分な時間がないことによるものです。薬の量が多かったり、投与されたタイミングが出産の時期に近いほど、赤ちゃんが呼吸抑制を起こす恐れも高まります。

終わりに

妊娠・出産とは人生における一大イベントです。待望の生命との遭遇が良い思い出となるように、自分なりのスタイルを事前に考えてみるのも良いことかも知れません。

今回は和痛分娩についてお話しましたが、自然分娩を否定するものではありません。お産に対する一つの選択肢として認知が広まる一助になればと思っております。